プロジェクト#2 京ROUSOKU+

時間軸でろうそくをデザインした
「時間ろうそく」

古来より和ろうそくは、「日本人の暮らしと社会に密着したアイテム」でした。「京ROUSOKU+」は、なくなりつつある和ろうそく文化を次世代に継承するために誕生しました。 和ろうそく本来の価値を守りながら、「時間軸でろうそくを楽しむ」という新しい世界観や使い方を提案(=再定義)しています。

京ROUSOKU+

1.お寺で瞑想用に使っていた和ろうそくを、日常生活で使いやすいサイズやパッケージにしました
2.和ろうそくを5分、10分、20分という時間単位でデザインしました
3.植物性100%の原材料にこだわり、製造工程で余ったろうは再利用するなど、環境に配慮しています

◇デザインが生まれた理由/背景◇

デザインが生まれた理由/背景

かつて「日本人の暮らしと社会に密着したアイテム」だった和ろうそくは、現在では仏事などごく限られた範囲でしか使われなくなりました。また、和ろうそくに接する機会や知る機会が減ってしまうことで、「現代の暮らしや社会に密着するアイテム」としてのハードルは高くなる一方です。そんな最中、新型コロナウィルスの影響で、観光のみならず盆や年末年始の行事も大幅に減ったことで、和ろうそく業界も大きな打撃を受けました。一方でテレワークや巣篭もり生活など、社会や生活様式も大きく変化し、これまでにない規模で「心の癒し」が求められる時代を迎えています。私たちはこのような社会背景を踏まえ、自宅でもろうそくの炎の持つ癒し効果(1/fゆらぎ)を得られるアイテムとして、「時間軸を楽しむろうそく」を企画・開発しました。

デザインが生まれた理由/背景

本来、1時間や2時間というように長時間燃焼させるろうそくを、5分、10分、20分という使いやすい時間単位でデザインすることで、忙しい日常の中で、少しでも自分の時間を取り戻せるアイテムとして開発しました。またパラフィンなど石油系原料を使うろうそくが多い中、古くから和ろうそくの原材料として使われてきたハゼろうなど、植物性100%の原料だけで作っています。

◇デザインを実現した経緯とその成果◇

デザインを実現した経緯とその成果

弊社パートナーの中村ローソクでは、植物性100%の原材料にこだわり製造工程で余ったろうは再利用するなど、環境に配慮したろうそくづくりを行っています。また寺社ごとに指定する瞑想時間に合わせたろうそくをカスタム製造するなど、和ろうそくのモノ作り現場は、柔軟でユニークな技術とアイデアの宝庫です。

この和ろうそく文化の持つ素晴らしい価値観と技術力に魅せられた私たちは、太さや長さを調整することで指定時間に合わせたろうそくを作る技術とノウハウに着想を得て、「時間をデザイン=タイムマネジメント」するろうそくを企画・開発しました。 瞑想、ヨガ、音楽を聴く、ゆっくりお茶を飲むなど、「 自宅で手軽に自分時間を楽しむ・演出するろうそく」として、5分、10分、20分という使いやすい時間単位にデザイン。 ハゼろう(ブラウン)と米ぬかろう(アイボリー)のカラーコントラストも楽しめる商品に仕上がりました。

使い古しのろうを原材料として再利用

◇使い古しのろうを原材料として再利用◇

使い古したろうそくや残ったろうは回収され、新しいろうそくの原材料として再利用されます。まさに資源を効率的に使用するとともに、循環的な利用を行う「循環型社会」の指標となる商品と言えます。

中村ローソクと京都府立北桑田高校が、櫨(はぜ)や漆など原材料の地産地消を目指す「悠久の灯(あかり)プロジェクト」。京ROUSOKU+では2020 年12 月に挑戦したクラウドファンディング・Makuake のリターンで植林活動に協力しました。

※湯煙が少なく、大きく美しい炎が特長の和ろうそくの多くが「ぶどう櫨」を原料としています。
そのぶどう櫨の原産地は、雲仙普賢岳の火砕流により大きな被害を受け、全国的に生産農家が減少しています。「植林活動により原材料を安定供給して伝統工芸を維持するとともに、京北の活性にもつなげたい」という意気込みのもと、京都市内で和ろうそくの原料である櫨(はぜ)の栽培を始めたのが「京都 悠久の灯プロジェクト」です。

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日本の季節の香りと色を楽しむ
「香りろうそく」

香りろうそく

アロマキャンドルとは別物の、植物性原料100% の和ろうそくと天然精油、和の色彩顔料を使いった「日本の季節の香りと色とゆらぎを楽しむ」新しいろうそくが誕生しました。

季節の移り変わりを敏感に感じることができる「七十二候」から、春夏秋冬それぞれの季節毎に3 つの候を選び、その風景をイメージし作り上げた『どこか懐かしい天然精油の香り』と『日本画に用いられる和の色彩』を楽しめます。

香りろうそく

◇香りろうそくのこだわり◇

【あえて揮発性の高い天然精油を使いました】
このろうそくの香りの賞味期限は約2 週間。使っている天然精油は揮発性が高いものなので、香りは2週間ほどで徐々に薄らいでいきます。それは本物の天然精油の香りを使っている証。

植物性原料100% の和ろうそくにつける香りも天然成分由来にこだわりました。天然精油は日本らしいほんのりと優しい繊細な香りを体感いただけます。京都出身のアロマ調香プロデューサー・齋藤智子さん監修のもと、生花を愛でたり採れたての果実の味を楽しむかのように、「期間限定のフレッシュな香りを楽しむ贅沢な時間」がコンセプトにこのろうそくは生まれました。

期間限定のフレッシュな香りを楽しむ贅沢な時間

【日本各地の季節の香りや色の擬似体験を楽しむ】
気軽に旅に出ることが難しい今だからこそ、日本各地の季節の香りや色の” 疑似体験” を楽しんでいただくことで、おうち時間を心休まるひとときにしていただきたいという想いを込めて開発しました。

私たちは、ますはじめに日本の四季折々の風景をイメージし、そこから浮かぶ言葉や色を考え、1 年を通した季節の移ろいを「七十二候」から言葉を選び出しました。

そして、こうした「風景・言葉・色」からイメージする香りを月替わりで楽しんでいただこうと考えており、その月ごとに、1 種類ずつ、1 年を通して12 種類の香りを楽しんでいただける和ろうそくをお届けしたいと思っています。


【炎のゆらぎを見ながら癒される】
和ろうそくの主な原料の1 つである櫨(ハゼ)の実や米ぬかから作られたろうそくは、油煙が少なく、天然素材のため、人体にもやさしいろうそくです。風に強い特性を持ちながら、風がなくても炎がゆらぎ、そのゆらぎが癒しを与えます。

また和ろうそくの炎の色は、石油系原料のパラフィンを使っているろうそくに比べて赤く、落ち着いた暗さも特徴。その色合いは目にも優しく心を落ち着かせてくれるのです。

  • 1月ろうそく 水泉動(しみずあたたかをふくむ)地中で凍った泉が動き始める

    1月ろうそく 水泉動(しみずあたたかをふくむ)地中で凍った泉が動き始める

    【泉】氷 湧き出る泉 霜の花 清らかな水 御神渡 鏡 ヒイラギ 静寂 一番寒い季節 和 正月 動く 規律正しい 清らか
    まっすぐ凍った水が動き出す。そんな七十二候から起草した香り。黒文字や檜など日本の木を組み合わせて、凛とした空気感をつくりました。呼吸をクリアにしてくれるユーカリも加えて姿勢を正して一年の最初をスタートする、そんなイメージの香りです。

  • 2月ろうそく 草木萌動(そうもくめばえいずる)草木が芽吹き始める

    2月ろうそく 草木萌動(そうもくめばえいずる)草木が芽吹き始める

    【萌】新緑の青い香り ふきのとうの苦味 新芽 植物1 年の始まり 呼吸 苦味 クリア
    草木が芽吹き始めるキリッと冷たい空気の中にも、少しずつ春が入り混じってきました。グレープフルーツ、プチグレンは春の新芽をイメージしたほんのりビターなグリーンの香り。目の前がふわっと明るくなるような印象のメイチャンもプラスしました。

  • 3月ろうそく 桜始開(さくらはじめてひらく)桜の花が咲き始める

    3月ろうそく 桜始開(さくらはじめてひらく)桜の花が咲き始める

    【開】花の香 桃 桜 スミレ 菜花 木蓮 春の訪れを告げる花々 自然美 春の柔らかさ、桜のかおり、ピンク、日本、幸せ
    春のやわらかな日差しが増えてきました。どこからか薫ってくる甘い花の香り、梅や桃のピンクのグラデーションを、柑橘類やゼラニウム、そしてトンカビーンズを使って表しました。

  • 4月ろうそく 虹始見(にじはじめてあらわる)雨の後に虹が出始める

    4月ろうそく 虹始見(にじはじめてあらわる)雨の後に虹が出始める

    【虹】虹色 虹のイメージ 牡丹 八十八夜の新茶 華やぎ 七色の光の反射 浮遊感、華やか、新茶、光
    春のはじめ、風がふいて舞い散る桜の花びらに包まれたような華やぎを感じる香りです。 儚げな佇まいの染井吉野、古都に映える枝垂桜など、京の町を彩る桃色の花が重なる季節を、ゼラニウムやスイートマジョラム、ベルガモットなどを用いて表現しました。

  • 5月ろうそく 竹笋生(たけのこしょうず)筍が生えて来る

    5月ろうそく 竹笋生(たけのこしょうず)筍が生えて来る

    【竹】竹 万緑シソ 菖蒲の葉(端午の節句の邪気払い)蛙風薫る 生々しさ、青臭さ、爽やかさ雨上がり、ふと見上げると大きな虹。光の色を数えるうち空に吸い込まれてしまいそうな浮遊感を、レモンの軽やかさとリンデンのどこか懐かしいやわらかさで調香しました。春をよろこびながら初夏を心待ちにする思いをこめて、ほのかに新緑を感じるお茶のような香りをプラスしています。

  • 6月ろうそく 菖蒲華(あやめはなさく)あやめの花が咲く

    6月ろうそく 菖蒲華(あやめはなさく)あやめの花が咲く

    【菖】花菖蒲 梅雨 雨に濡れた苔 アジサイ しっとりとした日影のひんやり感 洗浄 しっとり 雨 落ち着き 静か 薄紫 凛とした清涼感のある香りです。石庭の苔、季節の花々が見せる紫のグラデーション、ひとときの静寂…。灯した瞬間、いつもとは別の場所にいるような感覚を味わえるでしょう。薄紫のイメージのラベンダーを軸に、スッキリとしたスパイクラベンダーを重ね、ユーカリとティートリーで透明感を演出しています。

  • 7月ろうそく 大雨時行(たいうときどきにふる)時として大雨が降る

    7月ろうそく 大雨時行(たいうときどきにふる)時として大雨が降る

    【雨】蓮 朝顔 七夕 浴衣 夕立 大雨 湿った土 浴衣の色彩水、流れる、土、湿度、朝顔
    しとしとと滴り落ちる梅雨の雨、ザーッと道路を叩く強い雨。そして草木を潤す命の水。そんな「水」をイメージした香りです。日本の和ハッカやペパーミント、そして月桂樹のグリーンの香りを重ねて、土の香りをベチバーで表現しています。

  • 8月ろうそく 天地始粛(てんちはじめてさむし)ようやく暑さが鎮まる

    8月ろうそく 天地始粛(てんちはじめてさむし)ようやく暑さが鎮まる

    【粛】綿花 秋の風→金風(五行説で秋は金) 虫の声 ひぐらし 穀物の実り 田畑が太陽の光で黄金色に輝く様 金、実、甘酸っぱい、乾き
    夏の盛りを過ぎ、少し涼しい風が吹いてくる頃の、稲や小麦がタワワにみのる金色の畑をイメージしました。空の高さをユーカリやフランキンセンスで、フェンネルでさらさらと風に揺れる稲穂をイメージしています。

  • 9月ろうそく 玄鳥去(つばめさる)燕が南へ帰って行く

    9月ろうそく 玄鳥去(つばめさる)燕が南へ帰って行く

    【玄】燕 十五夜 秋のお彼岸 ろうそく お線香 菊の節句菊の夜露を一晩吸わせた綿で体を拭い邪気を払う夜露月の雫夕闇にさしかかる群青月夜の明るい夜空デトックス、神秘的、月、ユニセックス、女性性
    十五夜の夜。大きな月が私たちを照らす夜の帳を珍しい香りで組み立てました。ブラックカラントはクロスグリの酸味のある青い香り。それにホーウッドの甘さやマンダリンオレンジの深みのある柑橘の香りをプラスしました。

  • 10月ろうそく 楓蔦黄(もみじつたきばむ)もみじや蔦が黄葉する

    10月ろうそく 楓蔦黄(もみじつたきばむ)もみじや蔦が黄葉する

    【楓】金木犀 紅葉 楓 蔦 櫨(ハゼ) 銀杏 秋の夜長 紅葉稲刈 充実、満ちる、紅葉、夕陽
    玄関を開けたらふっと顔ってきた金木犀の香り。濃厚な山吹色の花の香りは幼い頃から何度も嗅いできた懐かしい香り。秋の夕日をオレンジスイートやマンダリンの橙で表現した、こっくりと濃厚な香りに仕上げました。

  • 11月ろうそく 楓蔦黄(もみじつたきばむ)もみじや蔦が黄葉する

    11月ろうそく 楓蔦黄(もみじつたきばむ)もみじや蔦が黄葉する

    【橘】橘(かんきつ系) 水仙 山茶花(さざんか) 北風 寒風が吹き付ける
    木枯らしが吹き始める頃、寒さを感じながら家に帰って暖かいお風呂に入る、そんなイメージを香りにしました。ゆずや檜は私たちにとっては身近でいつもそばにあった香り。シダーウッドで樽のような深みを足しています。

  • 12月ろうそく 閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)天地の気が塞がって冬となる

    12月ろうそく 閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)天地の気が塞がって冬となる

    【冬】大雪 灰色の雲 氷雨 炭 墨汁 静止 冬命あるものが影を潜める 真 金属の冷たさクリスマス 森 シーンとした深さ 温かみ 一年の計
    マンダリンオレンジ、やもみの木やスプルース、そしていくつかのスパイスの香りを組み合わせました。シンシンと冷える森の空気と、暖炉が燃える暖かい部屋で開くクリスマスパーティを連想させる香りです。

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パートナーについて

中村ローソク

◇中村ローソク◇

全国に10 店ほどある和ろうそく製造販売店の一つ。創業は1887(明治20)年。今年で133 年目を迎える。ハゼ蝋(ろう)を原料とする伝統技法で和ろうそくを製造しています。
京絵師による手描きの「絵付けろうそく」製造では、スイスの高級機械式時計メーカーとのコラボなど、工芸品としても高く評価されています。

齋藤智子さん

◇齋藤智子さんプロフィール◇

京都で10 代続く家に生まれ、幼い頃より伝統的な香りや文化に親しむ。「本物の薫りには、人を動かす力がある」を軸に天然精油にこだわり調香を行う。

13 年以上の現場実績をもとに、アロマ調香と空間演出を中心とした「アロマ調香デザイン学」を確立し、受講生は累積2000名を越える。制作した薫りは6000 以上となり、全国のアロマ調香デザイナー®(※)の育成・輩出にも注力する。また近年では企業や美術館、コンサートなど、国内だけでなく、海外での香りプロデュースも行うアロマブレンドの第一人者。

2017、2018 年とミラノサローネにてミラノデザインアワード受賞のPanasonic Design の展示で調香を担当し好評を博した。

※アロマ調香デザイナー® は一般社団法人プラスアロマ協会(IAPA) の商標または登録商標です。

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